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|| 2001/10/06 改 ||
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「パズルを作るなんて難しそう!」という方にはここから先の内容は"無用の長物?"です。
少しでも興味がある、パズルを解くのは好きだという方に贈ります。
とはいっても私も「初心者に毛が生えたようなモン」ですから間違い等あるかと思います。
その際はメールにてお知らせ下さい。
[+] 前置き、というか経緯
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- ■きっかけ...
- 毎月、月刊のパズル誌を4〜5冊、買い込みせっせと解いくこと数ヶ月...。
本代だって馬鹿になりません。何せその頃はぷーしてましたから...。
プレゼントもそうそう当たる訳もなく、傍目に見ればただの暇つぶしにしか見えなかったでしょうね。
そんな私に発せられた一言が「そんなに好きなら、自分で作ってお金貰えるようになればたいしたもんなんだけど...」。というものでした。
それじゃあ、ってんで元々「投稿」は好きな私でしたから、さっそくホイホイっと作って出してみたら、これがなんと雑誌に載ってしまったんですねぇ。(いいのかしらん?)
確かその時の原稿料というのが7×7マス(クロスワードパズルです)で 4,000円だったと思います。「しめしめ」ってなもんです。そりゃ頑張りますよぉ。
- ■酒本紫煙
- 以前、某月刊誌にちょろちょろと出没していた時のペンネームです。
ご存知の方がいらしたら嬉しいです。
折角、デビュー(残念ながらコンスタントに依頼を受けていた訳ではない)したのですから復活せねば!
というわけで、作り方を展開しつつ自分もまた原稿料を手にするべく頑張ってみたいと思います。
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1. 道 具 |
まずは道具を揃えましょう。 |
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2. 基本用語 |
おさえておかないとハマります。 |
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3. テーマ |
これがなければつまらない! |
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4. 仕掛け |
いろいろあって迷っちゃう! |
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5. 手 順 |
いよいよ作成開始!! |
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6. 投稿上の注意 |
載せてくださいましまし! |
- 1. 道 具
- と言っても特別な物は何も必要ありません。極端な話、紙と鉛筆があればいいのです。
なんてこと書くと「んなアホな」と言われてしまいそうなので、参考までに私が使っている物を挙げると...
- 用 紙(下書き)
- (投稿が採用されると)出版社から専用の用紙をもらえたりすることもあるけど通常はコクヨのセクションパッド(A4判かB5判)を使用。(方眼紙みたいなやつです)
カギの作成には、ごくごく普通の「B5判のレポート用紙」を使用。
- 鉛 筆(下書き)
- 何度も書いたり消したりするので鉛筆が一番です。
お気に入りは 三菱のHi−uniです。当然のように硬い鉛筆だとすぐに紙がへたれます。
- 本
- 「お手本」になるパズル雑誌はもちろんのこと、ネタになる様々な雑誌や本は必需品です。HPも同じですが、最初は上手い人の作品を見本に作る!
とはいっても盗作はいけません。念のため...。
- 辞 典
- 「勘違い」や「思い込み」は禁物! しっかり確認!
学生時代から使っている国語辞典・漢和辞典、あと作るモノによっては英和辞典、カギ作りに困ったら百科事典・最新用語辞典なども役立ちます。
(注)全部揃える必要はありません。なにせこの類は"高価"ですから…。
そして「頼りになる一冊」は その名もズバリ!
[+] クロスワード辞典です。
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パズル誌としてはおなじみの"ニコリ"編集の辞典。
なんといっても凄いのは「逆引き辞典」と違って分からない文字が何番目にあってもかまわないこと。
例)「□□サイ□」(5文字の言葉で3・4番目の文字が分かっている場合)
アイサイカ、コウサイカ、コクサイカ、スイサイガ、タンサイガ、カンサイキ、コクサイゴ、テンサイジ...。
と並んでいて、グリッドを組むにはとても重宝します。
2〜11文字までの単語(普通名詞)が文字数別に 47,000語も収録されているので大抵のワードはこれで間に合います。
「濁音、半濁音、音引き」も引きやすくて気に入ってます。
ただし、カタカナで書かれているので「ピンとこない」語句があったりして「こんな言葉あったっけ?」と悩むこともしばしば...。
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編 者 | ニコリ |
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発行所 | 波書房 |
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ISBN | 4-8164-1211-5 C0576 |
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価 格 | 4,500 円 |
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と、このぐらいでしょうか?
まあ資料はいくらあっても困りませんが最初のうちは「テーマごとに必要な物を揃える」程度でいいと思います。
(ネットで調べ物ってのもいいし...)
「あるといいな」というのがネタ帳です。というのも思い付いた時にメモしておかないと忘れちゃいます。
「すぐにまとまりそうなもの」と「そうでないもの」ぐらいに分けて書いておくようにしています。後で見て「これ何だっけ?」というのがあるのも事実ですが...。
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- 2. 基本用語
- 自分でパズルをよく解いている人は分かっているとは思いますが、自分で作るとなると無視してしまいがちです。
ここでしっかり
[+] 基本用語
をおさえて採用される作品を作れるようになりましょう。
- A. グリッド
- サイズは色々。「2×2」から上はきりがないのですが、一般的には「7×7」「11×11」「15×15」ぐらいのモノが多いようです。
他には、モノの形を生かした「ギター型」や「星型」、「クリスマスツリー型」等の変形版もあります。
- B. マス目
- 通常、一つのマス目には一文字しか入りませんが特定の個所だけ"二文字"や"漢字"(ナンクロにはよくある)が入るというのも面白いです。
- C. 黒マス
- 日本と海外とではかなり違いがあるのですが「日本語ではパズルが作りやすい(グリッドを組みやすい)ぶん、ルールも厳しい」といった感じです。
注意点は以下の通りです。
- 黒マスを2つ以上連続してタテ・ヨコに繋げてはいけない
(ナナメはOK。ただしサイズにもよるがあまり多いといけません)
- グリッドの四隅には黒マスを配置してはいけない
- "シマ"を作らない。及びそれに近い状態の「袋小路」を作らない
- 黒マスの数はマス目の数の20%程度が目安
(10×10のサイズなら20個程度)
- D. ワード
- これも黒マス同様、日本ではルールが厳しいのですが、使えるのは"名詞"のみ
(動詞・形容詞・形容動詞・代名詞は使用不可)です。
"固有名詞"は一般的なものでテーマに合ったものであればOKです。(人名はフルネームが基本)
ただし、名詞であっても以下のものは使用不可。
- (「の」や「と」をはさんだ)一語以上のもの
- 暗い言葉(病や死をイメージするもの等)
- 差別語・隠語・人を不愉快にさせる言葉
(とかく部外者は無意識のうちに使っていたりするので、これは特に注意!)
- 固有の商品名・登録商標(出版社、テーマによってはOKな場合あり。要確認)
- 赤ちゃん言葉
難しいのが「外来語」・「略語」です。
一般に定着しているものであればOKなのですが、自分は当たり前のように知っていても周りの人が全然「知らない」というのであれば当然×です。
辞書に載っているからといってこういった語句を多用すると「誰も解けない」という代物が出来上がってしまうこともあるので周りの人に確認してみるとよいでしょう。
外来語で注意すべき点がもう一つあります。それは表記の問題です。
「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」と「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」の違いなどがこれに当たりますが、これも一般に定着しているものを正解とします。
- E.カギ
- 「カギなんてワードの説明でしょ」などと考えてはいけません。カギ一つでその作品が面白くもつまらなくもなるのです。
注意点は以下の通りです。
- 間違ったカギ
人間のすることですから「勘違い」や「思い込み」は誰にでもあります。しかしカギには許されません。どんな些細なことでも「あれ?」と迷ったらすぐに辞書等で調べましょう。
- 別解
作者が考えたワード以外のワードがその部分に入っても成立してしまうような個所を作ってはいけません。
- 曖昧・不正確なカギ
別解に似ていますが、こちらはカギがアバウトすぎてどうにでもとれるようなカギのことをいいます。カギを難しくしようとして陥りやすいミスですが、そこをテーマに合わせて絞り込ませるのも作者の腕の見せ所です。
- 伏せ字
「○○役・○○色・○○見知り」「〜にはコレが一番!」などのように使いますが、あまりにも伏せ字が多いと単調になり面白味に欠けます。
たしかに上手い文句が浮かばない時にはとても便利なのですがやはり解き手のことを考えてあまり使わない様にしましょう。
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- 3. テーマ
- 「4.仕掛け」「5.手順」にも絡んでくるのですが、まずはテーマが決まらないことには始まりません。
ここまで読んできてもまだ、"マス目が埋まればいいや"などと考えていると必ずや痛い目に会います。(経験者は語るってやつです)
で、私がどうしているかというと、
「テーマはコレ」「仕掛けはコレ」と決めてから作っています。
というのも「コレだけは譲れない」というラインを決めておかないとつまった時に「まぁ、いっか」とどんどん脱線していってしまって最初に考えたものとは似ても似つかないものになってしまうからです。
どうしても上手くいかない個所だけを崩すようにしないといつまでたってもグリッドが組めない、なんてことになってしまいます。
あと、矛盾するようですが、どうしようもなくなったら一時保留にして他の作業をするというのも手です。意地になってやっているとこれまたつまらないミスを犯したりするものだからです。
一番大事なのは"パズルは楽しく作る"ということ。目くじら立てて作ったものが面白いわけないですからね。
最初は"季節もの"をテーマに作ってみてはどうでしょうか? これなら関連するワードを思い浮かべるのも難しくないと思います。それが出来たら
- "自分の趣味に関するもの"(ただしあまりマニアックなものは避けたほうが良い)
- "流行もの"(作るタイミングが難しかったりするが...)
と、まずは自分の興味のあるものから始めると楽しく作れると思います。
作ったからには「すぐ投稿!」と考えている人には注意を一つ。
「季節もの」は最低でも3ヶ月先のものを作るようにして下さい。
締め切りはもちろんのこと、最初は小さなサイズでも結構な時間がかかるものだからです。
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- 4. 仕掛け
- "仕掛け"といっても色々あります。
2.「基本用語」で紹介したグリッド、ワード、カギ、そして答えそれぞれに仕掛けることができます。
- A. グリッド
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- 2.−A.で紹介した"変形もの"
- グリッドが立方体などの展開図になっているもの
(当然、紙を切りぬいて立方体にするとワードが繋がり、意味をなす)
- 上下あるいは左右(グリッドの端)のワードが繋がるもの
- 黒マスがないもの
「黒マスなしクロス」または「ホワイトクロス」などと呼ばれています。
- わざとよけいな黒マスを配置する
(そこに入った文字のアナグラムで答えとする)
などがありますが、個人的にはb. とc. はあまり意味がないと思います。
というのも、自分が解答者の場合、小さいグリッド、もしくは答えの仕掛け上必要でもない限りクロスワードでマス目を全部埋めることはあまりない(悲しいかな)からです。
だからといって隅々まで気を抜かないで仕上げないとパズルは成立しません。(こういった矛盾が自虐的な私には合っているのかも?)
まぁ、この辺りが作る側と解く側の一番の違いなのかもしれませんが...。
この点をしっかり頭に刻んでおかないと作者だけの自己満足的なつまらないパズルになりかねません。ですからb. とc. の様なパズルは注意しなければいけません。
- B. ワード
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- 1マスに1文字入れるところを2〜3文字入れる
- ある特定の言葉のみ(2〜3文字が適当)1マスに入れる
- カナ以外の数字、アルファベット、漢字などを入れる
- 難読漢字の読み(C.−d. ↓とセット)
これらを利用して答えの出し方を複雑にすることも可能です。
例)- 言葉の意味に関係なく数字の読み(イチ、ニ、サン...)が出てきたら数字に置き換えてマス目を埋める。
- グリッド上に現れた全ての数字の和はいくつでしょう?
(この際、数字の読みは1種類に定義しておくこと)
- C. カ ギ
- ともすると、辞書的な単なるワードの説明になってしまいがちなカギ。
確かに作る方としては一番楽なのかもしれませんが、これほど解いていて面白くないものはありません。
そこで、よく用いられる手法としては
- なぞなぞ風
- スリーヒント形式
- 二者択一
- 難読漢字(B.−d. ↑とセット)
- 漢字のみのカギ
(中国語風? これはかなり定着していますが英語でカギを書いても面白くありません。念のため...)
などがあります。
- D. 答 え
- 「答え」そのものに「仕掛け」るものとしては、出てきたものが質問文になっていて、それに答えさせるものがありますが、多くは以下のような、a.〜c. の仕掛けを絡めて出させるものです。
- 予め二重マスなどで区別した「A〜Eを繋げると答え」
(一番ポピュラーなものです)
- a. の変形で「A〜Eを並べ替える(アナグラム)と答え」
- タテ・ヨコ・ナナメ、いずれか一直線に答えが出る
(タテ・ヨコの場合、もちろんカギは伏せておきます)
特にナナメの場合は「ナナメ出し」「あぶり出し」などと呼ばれます。
- 複数の答えを出し、その中でテーマにあったものを答えさせる
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- 5. 手 順
- 1.〜4.までの「まとめ」と思って下さい。
- A. テーマを決める
- 投稿先で決められている場合は別として、フリーで作る場合、用意してあったネタ帳がここで役に立ちます。
- B. 答えを考える
- 答えのワードを考えます。
テーマに合った、分かりやすいもの(カタカナで表記する事を考慮して下さい)、何文字にするのか、どういった出し方にするかをじっくりと考えて下さい。
- C. サイズを決める
- 最初のうちは投稿先で用意されているものを利用すると良いと思います。(慣れないうちは黒マス1つにも苦労するので...)
それが出来れば、「7×7」や「11×11」、「テーマに合った変形物」と進めていくと良いと思います。
サイズは、A. B.を決める前後、どちらでも良いと思います。
- D. グリッドを組む
- これが1番、難しい。黒マスの位置などルール違反に気を付け、しかも答えの位置を決め、カギを大体考えながら...。と全てに気を配りながら組んでいかなければなりません。
ワードは「濁点(゛)」や「音引き(ー)」の位置に注意すると良い。
- 注 意
余裕を持たせながら作るのがポイントです。左上からキッチリ作っていくのではなく、絡みの多い長いワードなどは1字違いなどいくつかのワードを用意しながら作っていくとスムーズに組めるようになります。
ジグソーパズルの要領で「これかな? じゃ、これならどうだ」と試しながら進めていくわけです。
- E. カギを書く
- 短いワードでもテーマや答えに絡めるなど気を抜かない様にしましょう。
解き手が一番触れる個所なのですから...。
- F. 清書する
- 見やすいものが一番ですが、所定のフォームがある場合は、もちろんそれに従う。無い場合でも、誌面から読み取ってカギの字詰めを同じにするなどしておくと良いようです。
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- 6. 投稿上の注意
- 自分と相性の良い出版社、悪い出版社というものが必ずあります。
ムダ玉を少なくするためにまずは出版社選びから...。
本当はムダ玉を撃っておくと色々と勉強になるのですが、私の様に飽きっぽい人だと挫折しかねないので...。
といっても、いきなり出版社に原稿料を尋ねたりするわけではありません。自分の作品が採用されやすい出版社を探そうというわけです。
パズル好きの人は何冊かひいきにしている雑誌があると思います。
「出版されているものは一通り買って(解いて)みたけど面白いのはこの3冊」という様な場合、間違いなくこの3冊が自分と相性の良い出版社なのです。
いくら原稿料が良くても、ビギナーズラックで1作品 採用されたところで自分が面白いと思えないものに対して長く作ってはいけないし、その出版社の趣旨に合うものは作れません。自分が面白いと思えるものであれば、傾向もつかみやすく、それに伴ってアイデアも生まれてくるものです。
こうして絞った中でも良いと思うのは採用分のみならず不採用分に対してもコメントを出している(たとえ一言でも)所。どこがダメなのか分からなければ直しようがありませんからね。
まあ、採用されてもそのまま掲載されるのではなく直しを入れられる場合があって「そうか、ココがまずかったのか」と考えさせられたりもしますが...。
こうして投稿先が決まったらいよいよ投稿!投稿規程を守るのはもちろんのこと、以下の点にも注意して下さい。
- ルール違反は無いか、もう一度チェック!
(他人が見ればちょいミスほど目に付くものはありません)
- 同じ原稿を複数の出版社に出してはいけない。
(投稿規程に書かれていない場合もあるがこれは常識)
- まずは1ヶ月に1本ずつ送る
(まとめて送っても、その中から1本に絞られるのがオチ!)
- 毎月、毎月、続けて送る
(「コンスタントに作れる」という印象を与えるにはこれが一番!)
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